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2020年09月18日

やみつきのみそだれ餃子 “母国恋しさ”が生んだ神戸の定番



関西では、京都や大阪、大津などがギョーザの消費量で全国トップクラスとなるなど、食文化にギョーザが根付く。そんな中、「神戸餃子」が、ご当地ギョーザの“注目銘柄”になっているという。その定番の食べ方といえば「みそだれ」。

ギョーザには酢しょうゆとラー油が一般的だが、神戸では中華チェーンの店舗でもみそだれが置かれるほどだ。ところでなぜ「みそだれ」なのか。神戸っ子が愛してやまないその味の歴史をひもとくと、戦争に翻弄されながらも生きぬいた引き揚げ者の母国への思いが見えてきた。(中井芳野)

 ■突然の幕引き

 6月中旬、神戸のギョーザ業界に衝撃が走った。牽引(けんいん)役の一角だった当地の名店「餃子のひょうたん」(神戸市中央区)が突然、63年の歴史に幕を下ろしたのだ。

 同店の公式インスタグラム(写真共有アプリ)では製造責任者の体調不良を理由に挙げているが、新型コロナウイルスの感染拡大でいったん営業を休止し、再開してからすぐのこと。とにかく、ひょうたんとの別れは唐突だった。

 「子供の頃に父と通ったお店。思い出がまたひとつ消えたみたいで寂しい」

 「いつか復活して」

 ネットには閉店を惜しむ書き込みが相次いだが、特に目についたのが同店のみそだれへの言及だった。

 「辛いみそだれが大好きでした」「みそだれで食べるのうまかったなあ…」

 ■母国への恋しさ

 神戸餃子を語る上で外せないのが、みそだれ発祥の店とされる中華街の「元祖ぎょうざ苑」(同市中央区)だ。そのルーツを探るべく3代目の頃末灯留(ころすえとおる)さん(53)に話を聞いた。

 頃末さんによると、祖父で初代の芳夫さんは先の大戦で中国・満州に渡った。岡山の名家に生まれ、英語が堪能なことから、現地では諜報員を命じられた。活動のカムフラージュと情報取集を兼ねて、日中は日本人向けの食堂を営んだ。

 中国では当時、ギョーザといえば水ギョーザを意味し、祝いの席で提供する特別な料理とされていた。一方の焼きギョーザは、火を通して食べる「残りものの水ギョーザ」という位置づけ。鍋に貼り付けるようにして焼くことから「鍋貼(ワーテル)」と呼ばれ、主に使用人の間で食された。

 しかし満州で暮らす日本人は文化の違いもあり、各家庭で焼きギョーザを好んで食べた。そして次第に募る「ふるさとの味」への郷愁から、みそをつけて食べるようになったという。

 神戸でみそだれが広がったのは戦後のこと。満州から引き揚げた芳夫さんは戦後の混乱を経て流れ着いた同市兵庫区の新開地で、昭和26年に「元祖ぎょうざ苑」を創業した。満州時代の食堂で人気だったみそだれのギョーザを提供すると、引き揚げ者らの間で話題を呼び、市内の他店にも広がることになった。

 元祖ぎょうざ苑では、神戸ビーフを使用したコクのあるあんを、満州風の伸びる皮で包む。みそだれの調合はもちろん「企業秘密」。頃末さんは「従業員が帰ってから、1人でこっそり仕込みます」とちゃめっ気たっぷりに笑った。

 ■B級グルメの脚光で

 「みそだれを提供する店舗の増加に加え、地域の食文化としてB級グルメが注目され始め、ご当地餃子も紹介されるようになった」

 餃子の普及を図る一般社団法人「焼き餃子協会」の代表理事、小野寺力さん(44)は、みそだれが神戸の定番として知られるようになったきっかけをこう語る。

 同協会によると、ギョーザで町おこしを進める自治体が集結し意見交換する「全国餃子サミット」の開催や、全国各地の文化を伝えるテレビ番組「秘密のケンミンSHOW」で紹介されるようになったことで、ご当地ギョーザが人気に。

 野菜多めのあんが特徴の栃木県の「宇都宮餃子」、ゆでもやしの付け合わせで有名な静岡県の「浜松餃子」はすでに全国区の存在だが、神戸のみそだれも徐々に周知されるようになってきているという。

 小野寺さんは「神戸ではみそだれが、地域の特徴として家庭にまで根付いているのが興味深い」と指摘。一方で、平成7年の阪神淡路大震災からの復興の過程で観光支援が行われてきたことを踏まえ、「新たな観光資源として神戸餃子が認識されるようになったのでは」と県外にも認知が広がった過程をこう推測した。

 今や、ギョーザ専門店に列を作る人々の姿は神戸の日常風景。有名どころでは、カリッとした皮が売りの「ぎょうざ大学」、薄皮が特徴の「ぎょうざ専門店赤萬」など。いずれもみそだれとの相性は抜群だ。市内ではこの頃、ラーメン店でもみそだれが置かれるなど、神戸餃子の勢いは止まることを知らないようだ。

 「歴史のはざまで生まれた神戸餃子。一度食べたらとりこですよ」。頃末さんは笑顔でうなずいた。




posted by terry at 09:27| Comment(0) | ご当地グルメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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